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「いつも寝てばかり・・」糖尿病と眠気は関係ある?

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「日中に強い眠気に襲われること」または、「日中に寝てしまい、何もできなかった」なんてことはありませんか?
実は糖尿病患者の中には、日中に眠気を感じやすくなり、「寝てばかり」という状態に陥ることがあります。
本記事では、糖尿病と眠気の深い関係、血糖値との関係性、そして改善方法について詳しく説明します。

血糖値と眠気の密接な関係

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、特に2型糖尿病は中高年における生活習慣病が大きな要因として知られています。
糖尿病における眠気や過剰な睡眠は、血糖値の乱れが大きく関係していると言われています。
過剰な睡眠の要因には、以下が考えられます。

高血糖が引き起こす眠気

高血糖状態では体内で次のような問題が生じ、眠気を引き起こします。

要因説明
血液の粘度が上昇高血糖では血液中のブドウ糖濃度が高まり、血液がドロドロの状態になります。
この結果、血流が滞りやすくなり、酸素や栄養が全身に行き届きにくくなるため、細胞がエネルギー不足に陥ります。
これが疲労感や眠気の直接的な原因になります。
炎症反応の増加高血糖は体内で炎症性サイトカイン(例:IL-6やTNF-α)の分泌を促進します。
これらの物質は脳に作用し、過剰な眠気や倦怠感を引き起こすとされています。
エネルギー効率の低下細胞はインスリン抵抗性が高まることで、グルコースをうまく利用できず、慢性的なエネルギー不足が発生します。
その結果、活動する意欲が低下し、眠気が強まります。

低血糖による眠気

低血糖は、血糖値が70mg/dL以下に低下した状態を指します。
この状態は特に脳に大きな影響を及ぼします。

要因説明
脳へのブドウ糖供給不足脳はエネルギー源としてブドウ糖に依存しています。
低血糖状態では脳の活動が低下し、注意力や集中力が大幅に落ちると同時に、強い眠気が現れることがあります。
交感神経の過剰な活性化低血糖時には体が不足したエネルギーを補おうと交感神経を活性化させ、アドレナリンを分泌します。
これにより一時的に目が覚めるような感覚があるものの、その後急激に疲労感が襲って眠気が増します。

血糖値の急激な変動

血糖値が急激に上下する「血糖値スパイク」も眠気の原因となります。

要因説明
急上昇後の急降下食事後に血糖値が急激に上昇した後、インスリンの過剰分泌によって血糖値が急激に低下する現象です。
この際、エネルギー不足を感じ、極度の眠気や疲労感を伴います。
ホルモンの乱れ血糖値の変動は自律神経に負担をかけ、コルチゾールやインスリンなどのホルモン分泌が乱れることで、身体のリズムが崩れることがあります。

糖尿病患者が「寝てばかり」になる原因

糖尿病患者が長時間寝てしまう背景には、上記の血糖値の問題に加え、以下のような要因も関連しています。

常にだるさを感じる

糖尿病では血糖値が不安定になるため、体が必要以上にエネルギーを消費します。
これにより、通常の活動であっても疲労感や体のだるさを覚えやすくなります。
さらに、高血糖や低血糖の状態が頻繁に繰り返されることで、体は慢性的なエネルギー不足に陥ります。
このような状態では、休息を取ることでしか疲労を回復できず、よく眠るようになります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

糖尿病患者は肥満を伴うことが多く、これが睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高めます。
SASでは、夜間に呼吸が断続的に止まり、睡眠の質が著しく低下します。
このため、夜間に十分な休息が取れず、日中に強い眠気を感じる原因となります。

心理的要因による影響

糖尿病と診断された患者は、生活の制約や将来への不安感からストレスを感じることがあります。
慢性的なストレスは、抑うつ状態を引き起こす可能性があり、これが過剰な睡眠の原因となる場合があります。
心理的な負担を軽減することで、活動意欲の向上や睡眠パターンの改善が期待できます。

治療薬の影響

糖尿病治療薬の中には、眠気を誘発する副作用を持つものがあります。
特にインスリンや経口血糖降下薬を使用している場合、低血糖を引き起こすリスクが高まり、それに伴う眠気や倦怠感が現れることがあります。

身体活動の不足

糖尿病患者は、疲労感や体調不良から活動量が低下することが多くあります。
身体を動かさないことでエネルギー消費が減少し、夜間の睡眠の質が悪くなります。
その結果、日中に眠気が増加するという悪循環に陥ります。
軽い運動を日常生活に取り入れることで、エネルギー代謝が改善され、睡眠の質向上に繋がります。

血糖値を安定させるための具体的な対策

糖尿病患者が過剰な眠気を防ぐには、血糖値を安定させることが重要です。
以下の方法を参考に取り入れてみると良いでしょう。

食事を工夫する

低GI食品を選ぶ

血糖値を急激に上昇させない食材を選ぶことが大切です。
全粒穀物や野菜、豆類が特におすすめです。

適切な食事のタイミング

不規則な食事は血糖値の急変動を招きます。
毎食を決まった時間に摂るよう心がけましょう。
また、炭水化物より野菜やきのこなどから食べ始めることで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。

適度な運動

有酸素運動

ウォーキングや軽いジョギングは血糖値を下げる効果があります。
また、適度に疲れることで質の良い睡眠に繋がります。

筋力トレーニング

筋肉量を増やすことで、インスリン感受性が改善されます。

睡眠の質を向上させる

就寝前のリラックス

深呼吸やストレッチを行い、リラックスしてから寝る習慣をつけることで、良い眠りにつくことができます。

規則正しい生活リズム

毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計を整えます。
夜更かしをすると睡眠の質を下げたり、睡眠時間が短くなったりするため控えましょう。

医師との連携

治療計画の見直し

治療薬が眠気を引き起こしている場合は医師に相談しましょう。
もし不明な場合にも、眠気が強いことを医師に相談することが重要です。

睡眠障害の診断

睡眠時無呼吸症候群や他の睡眠障害が疑われる場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。

日常生活でできる眠気対策

糖尿病を持つ方々にとって、日常生活での眠気はよくある課題のひとつです。
この眠気は、血糖値の変動や薬の影響、その他の健康状態が関連していることが多いです。糖尿病と付き合いながら、日常生活で眠気を軽減するための対策をいくつか紹介します。

血糖値の管理

定期的なモニタリング

血糖値を定期的に測定し、理想的な範囲に保つことで、エネルギーレベルを安定させることができます。

バランスの取れた食事

食事は低GI食品を中心に、炭水化物、タンパク質、脂質のバランスを考えて摂取しましょう。

適度な運動

日常に運動を取り入れる

早歩きや軽いストレッチなど、短時間でも体を動かす習慣をつけることで、眠気を吹き飛ばすことができます。

定期的なエクササイズ

ジムや自宅での運動も含め、週に数回の軽い運動を心がけましょう。

十分な睡眠を確保

規則正しい睡眠習慣

毎日同じ時間に寝起きすることで体内リズムが整い、日中の眠気が軽減されます。

睡眠環境の改善

快適な寝具や暗い寝室、静かな環境を整えることで、質の高い睡眠が得られます。

適切な水分補給

こまめな水分摂取

体の水分不足は眠気の原因となることがあります。適度な水分摂取を心がけましょう。

ストレス管理

ストレスを減らす工夫

ヨガや瞑想、深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れることで、心身のリフレッシュを図りましょう。
また、自分なりのストレス発散方法を取り入れて、ストレスを溜めすぎないことも大切です。

医師との相談

専門家に相談

眠気が重度で日常生活に支障をきたす場合、医師に相談して適切な治療やアドバイスを受けることが重要です。

まとめ

強い眠気を感じたり、最近寝てばかりいるという方は、もしかすると糖尿病が原因となっている可能性もあります。
強い眠気や強い倦怠感は糖尿病と深い関係があり、改善していくには血糖値をコントロールし安定させることが大切になってきます。
まずは糖尿病があるのかを確認すること、それからは医師と相談をしながら、食生活の改善や、適度な運動、睡眠環境、ストレス管理などを行い、少しずつ眠気から脱却できるようにしていきましょう。
「もしかすると自分は糖尿病かもしれない」と不安に思う方や、治療を検討されている方は当クリニックまでお気軽にご相談下さい。

よくあるご質問

Q:食後に眠くなるのは糖尿病の初期症状ですか?

A:一概には言えませんが、糖尿病の可能性もあります。
また、糖尿病の初期症状はほとんど自覚がありません。
健康な人でも食事を摂ると血糖値が上がるため、眠くなることはあります。
しかし 糖尿病の方は、血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなっているため、食後の高血糖状態が長く続きます。
そのため、食後に強い眠気が長く続く場合には注意が必要です。
また、眠くなる病気は糖尿病以外にもありますので、心配な方は医師の診察を受けるようにしましょう。

Q:糖尿病は空腹時に眠くなりますか?

A:低血糖状態では眠くなることがあります。
糖尿病で血糖を下げる薬を使用している場合や、食事量が少なかったり、運動量が多かったりすると、血糖が下がりすぎてしまい、低血糖を起こしてしまう可能性があります。
低血糖状態になると、眠気だけではなく、酷い場合は昏睡状態になる可能性もありますので、強い眠気を感じる場合は医師に相談することが大切です。

Q:隠れ糖尿病とはなんですか?

A:隠れ糖尿病とは、医学的には「境界型糖尿病」または「前糖尿病」と呼ばれる状態を指します。
特に、空腹時血糖値が正常でも、食後の血糖値が大幅に上昇するケースが多いため、健康診断や通常の血液検査で見逃されている可能性があります。
糖尿病の症状や強い眠気や倦怠感を感じる場合や、不安な方は医師の診察を受けることをおすすめします。

参考文献

日本糖尿病学会編・著2018-2019糖尿病治療ガイド
https://www.jds.or.jp/uploads/fckeditor/files/uid000025_67756964655F323031382D323031392E706466.pdf
糖尿病における睡眠障害の臨床
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/110/4/110_753/_pdf

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