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糖尿病で痩せることがある?

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糖尿病は肥満の方が発症する病気と思われていますが、実際には糖尿病が原因で痩せてしまう事があります。
食事をしっかりと摂取していても体重減少をする場合や、意図せずに痩せてしまう場合には、背景として糖尿病やその他の病気が潜んでいる可能性があります。
今回は糖尿病で痩せる事があるのか、糖尿病の悪化予防対策等を解説していきます。

糖尿病とは

糖尿病とはインスリンの作用不足により、血中のブドウ糖が増加し、慢性的に血糖値が高い状態が続く病気です。
診断基準は以下のいずれかに該当する場合に糖尿病と診断されます。

  • 空腹時の血糖値が126mg/dL以上
  • 食後2時間後の血糖値が200mg/dL以上

インスリンは膵臓から出るホルモンであり、インスリンが作用すると血糖を一定の値に保つ機能があります。
高血糖状態が続く事で、血管が損傷し将来的に糖尿病の慢性合併症を引き起こす可能性があります。
また、著しく血糖が高い場合には、急性合併症として意識障害をきたし、昏睡状態に陥ることや、最悪の場合死に至る事もあります。

糖尿病の種類

糖尿病の種類は1型糖尿病、2型糖尿病、その他の機序・疾患による糖尿病、妊娠糖尿病の4つに分類されます。

1型糖尿病自己免疫疾患等が原因でインスリン分泌が欠乏する事で発症します。典型的には若年層に発症し、速やかなインスリン治療を必要とする場合が殆どです。
2型糖尿病食生活や運動不足、肥満、遺伝的要素から発症します。中高年の方に多く発症しています。
その他の糖尿病・疾患による糖尿病糖尿病以外の病気や、治療薬の影響で高血糖になり糖尿病を発症することがあります。
妊娠糖尿病妊娠の影響でホルモン変化が生じ、高血糖になることがあります。妊娠中は胎盤から出るホルモンの影響でインスリンが効きにくくなることから発症します。多くの場合は出産後には通常の血糖に戻りますが、将来的に糖尿病を発症する可能性が高いと言われています。

糖尿病が引き起こす合併症

糖尿病が軽度でも、高血糖状態が長期間続くと以下の合併症を引き起こします。

糖尿病性網膜症糖尿病による視力低下をきたす
糖尿病性腎症糖尿病による腎機能が低下する
神経障害糖尿病による感覚障害などを起こす

上記は糖尿病の三大合併症と言われています。

その他にも動脈硬化が進行することで以下の疾患の要因になります。
・心筋梗塞
・脳梗塞
・高血圧
・脂質異常症

糖尿病で痩せてしまう原因

健康な人は、食事で摂取したブドウ糖を、膵臓から出されるインスリンによってエネルギーに変換し、筋肉等に取り組む仕組みとなっています。
しかし、糖尿病によりインスリン不足やインスリンの作用不足となると、食事から摂取したブドウ糖をエネルギーとしてうまく取り込めなくなってしまいます。
エネルギー不足となると、体は脂肪や筋肉などのタンパク質を分解して、エネルギーを供給しようとします。
更に、血液中の高血糖状態が続くと、尿から糖を放出し、血糖を下げようとします。
その結果、体内の水分が減少し、エネルギーをより使うことで、食事を摂取しても体重が減少してしまいます。

糖尿病が疑われる体重減少の目安

医学的な体重減少の定義は以下です。
半年から1年の間に
①体重が4.5kg以上減少
もしくは
②体重の5%以上減少

普段から体重測定をしていない人は周囲から痩せたと言われる機会や、履いているズボンが緩くなってきた等が目安になります。
上記のペースで体重減少が現れた場合には、糖尿病や他の病気が隠れている場合がありますので、早めに医師の診察を受けましょう。

体重減少以外に現れる、糖尿病の症状

糖尿病が進行すると体重減少と併せてその他にも症状が現れます。
例えば、口渇(喉が渇く)、頻尿、疲労感、目のかすみ、皮膚の乾燥、傷の治りにくさ、手足の感覚鈍麻等(感覚が鈍くなる)です。

特に尿に関する症状は、自覚しやすい症状の為、下記のような症状が現れた場合には注意が必要です。
・尿が濁る
・尿が泡立つ
・尿の匂いの変化(甘酸っぱい匂い)
糖尿病を発症すると、タンパク質やブドウ糖が尿に含まれることから、上記の症状が出るようになります。

糖尿病による体重減少の段階

糖尿病で体重減少をしてしまうと、末期なのではないかや、余命について気になる方も多いと思います。
糖尿病で痩せるということが、糖尿病のどの段階なのかを解説していきます。

糖尿病の初期症状

糖尿病の初期症状は自覚がない場合がほとんどですが、初期症状として急激に太ることがあります。
健康診断で見つかるケースがほとんどですので、年に1回の健康診断をきちんと受けて、悪化する前に発見できると良いでしょう。

糖尿病の中期症状

糖尿病が進行すると頻尿や口渇(喉の渇き)、疲労感、体重減少が見られます。
体重減少が見られた場合には、ある程度糖尿病が進行した時の症状になります。
上記の症状が見られた場合は早めに受診をされることをお勧めします。

糖尿病の末期症状

糖尿病の末期になると、合併症を発症し日常生活を送るのが困難になってきます。
例えば、糖尿病性網膜症になると目が見えにくくなります。
また、糖尿病性腎症になると腎機能が低下し、将来的には人工透析が必要になってきます。
それらの合併症が進行することで、治療で血糖を下げることができても、合併症の症状を改善することが困難になる為、糖尿病を悪化させないことが重要になってきます。

糖尿病が悪化しないための対策

糖尿病と診断されたら、悪化させないようにする事が大切です。
また、糖尿病ではない方でも、糖尿病を予防するには日々の心がけが重要です。
糖尿病を予防・悪化させない為には3つのポイントがあります。

食事療法

糖尿病の予防や治療に欠かせないのは食事に気をつけることです。
理由として、どんなに薬で血糖を下げたとしても、薬だけでは血糖値をコントロールすることに限界があるからです。
食事の際には以下の点に気をつけると良いでしょう。

・ゆっくりよく咀嚼をする。
・朝昼晩と規則正しい食事をする。
・栄養バランス良く食べる。
・腹八分目を意識して食事をする。
・夜間遅い時間や就寝前の食事を控える。

これらを意識するだけでも違いますので、日々心がけて食事を摂るようにしましょう。

運動療法

運動療法の目標として、以下を目安に行うことを薦められています。

・週に150分以上かそれ以上
・週に3回以上
・運動強度はややきつい全身を使った有酸素運動
・運動持続時間は20分以上

日々の生活に運動を取り入れることで、高血糖の改善やインスリンの作用を高める効果が期待できます。
また、毎日ではなく週に2〜3回のレジスタンス運動(筋力トレーニング)を併用して行うことで、より効果が得られます。

例えば、ウォーキングや水泳などの運動に併せて、胸、背中、下肢を鍛えるトレーニングを行うと良いでしょう。

薬物療法

食事や運動のみでは血糖値の改善がされない場合には、薬物療法で治療をしていきます。
病状や状態に応じて、経口血糖降下薬や、注射としてインスリンあるいはGLP-1受容体作動薬を用います。

糖尿病以外で痩せてしまう原因

糖尿病ではない場合で、意図せずに体重減少をしてしまう場合には、背景に健康問題が生じていることがあります。
体重減少を引き起こす疾患は以下の疾患などがあります。

内分泌疾患 ・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)など
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、新陳代謝が高まり体重減少に繋がります。
消化器系疾患 ・クローン病
・潰瘍性大腸炎など
栄養吸収が妨げられ、体重減少に繋がります。
その他の症状として、下痢や血便、腹痛などの症状が現れます。
悪性腫瘍(がん) ・肺がん
・胃がん
・大腸がんなど
栄養吸収が妨げられ、食欲低下を引き起こし体重減少に繋がります。
精神疾患 ・うつ病
・認知症
・摂食障害など
精神的な病でも食欲低下や意欲の低下により、体重減少に繋がります。
神経疾患 ・パーキンソン病など
動作が緩慢になり食事の速度が遅くなることや、振戦(震え)や固縮(筋肉の強張り)などにより消費カロリーが増加することで体重減少に繋がります。

これらの疾患は早期発見し治療する事が望ましい為、体重減少が見られた場合には早めに医師の診察を受けることをお勧めします。

よくあるご質問(Q&A)

Q1 糖尿病で痩せると余命は何年ですか?

A:糖尿病の進行度や合併症により異なります。人工透析が必要な場合、余命は約5年と言われています。早期診断と治療が大切です。

Q2 糖尿病で痩せる場合は体のどこの部位から痩せてきますか?

A:腹部周辺の脂肪から痩せてきます。インスリンは血糖を下げてくれるホルモンですが、血液中の糖を血管の外へ排出する働きがあります。外に排出された糖は腹部周囲の脂肪に行く為、痩せる場合は腹部周辺から、逆に太る場合にも腹部周辺から太ります。

Q3 糖尿病は痩せると治りますか?

A:治りません。糖尿病で痩せるということは病状が進行してきている可能性があります。
急激な体重減少がある場合には早めの受診をお勧めします。

Q4 糖尿病で痩せるとどうなりますか?

A:糖尿病で痩せると合併症を進行させます。また、脱水症状を引き起こすことや、昏睡状態、意識障害を引き起こし、最悪の場合死に至ります。
痩せてきた場合には早めに医師の受診をして下さい。

まとめ

糖尿病で痩せる原因や合併症、予防策についてをご紹介しました。
糖尿病が原因で痩せてしまう場合も、他の疾患が原因の場合でも、体重減少は体のSOSサインの一つとなります。
ご不安な方やご心配な方は、お気軽に当クリニックまでご相談下さい。

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