「最近、足の親指がズキズキする」「夜中に足の激痛で目が覚めてしまう」などの症状がある方は痛風の前兆かもしれません。
痛風は放置すると、腎臓病や心血管病などの合併症のリスクも高まるため、早期発見・早期治療が非常に大切です。
本記事では、痛風の初期症状や、なりやすい人の特徴、治療法や予防対策について詳しく解説していきます。
痛風とは?
痛風は、血液中の尿酸値が高くなり、尿酸が結晶化して関節に沈着することで起こる病気です。
尿酸は、体内でプリン体が分解される際に生成される老廃物です。
尿酸値が高くなると、尿酸が結晶化しやすくなり、関節や腎臓などに沈着します。
関節に尿酸の結晶が沈着すると、激しい炎症が起こり、痛みや腫れが生じます。
これが痛風の症状です。
痛風の原因
痛風の原因は、大きく分けて以下の二つがあります。
プリン体の過剰摂取
プリン体は、体内で分解されると尿酸になります。
そのため、プリン体の摂取量が多いと、尿酸値が上昇しやすくなります。
プリン体が多い食品には、内臓肉、魚卵、エビ、カニ、シイタケ、ビールなどがあります。
尿酸の排泄不良
腎臓の機能が低下したり、脱水状態が続いたりすると、尿酸の排泄がうまくいかなくなり、尿酸値が上昇します。
痛風の症状
痛風の症状は、主に以下の通りです。
関節の痛み | 足の親指の付け根に突然激しい痛みが起こることが多く、歩くのもままならないほどの激痛になることもあります。 |
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関節の腫れ | 痛みが発生した関節が腫れます。 |
関節の赤み | 痛みが発生した関節が赤くなります。 |
関節の熱感 | 痛みが発生した関節が熱くなります。 |
関節の硬直 | 痛みが発生した関節が硬直して動きにくくなります。 |
痛風の合併症
痛風は放置すると、以下の合併症を引き起こす可能性があります。
・関節の変形
痛みが繰り返し起こると、関節が変形する可能性があります。
・腎臓病
尿酸が腎臓に沈着すると、腎臓の機能が低下する可能性があります。
・心血管病
痛風は、高血圧や高脂血症などの心血管病のリスクを高めるとされています。
痛風の前兆?見逃しがちな体のサインをチェック!
痛風は、初期段階では症状が軽微で、他の病気と間違えやすい場合があります。
しかし、痛風の初期症状に気づくことができれば、適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、将来の健康を守ることができます。
ここでは、痛風の初期症状や見逃しがちなサインについて、具体的な例を挙げながら解説していきます。
痛風の前兆1. 足の親指の付け根がズキズキする
痛風の最も一般的な症状は、足の親指の付け根の痛みです。
特に、夜中に突然、激しい痛みが起こることが特徴です。
痛みの強さは人によって異なりますが、歩くのもままならないほどの激痛に襲われることもあります。
また、痛みが引いた後も、数時間から数日、関節が腫れたり、熱を持ったり、赤くなるなどの症状が残ることもあります。
痛風の前兆2. 足の親指が腫れて赤い
痛風では、関節が腫れて赤くなることもあります。
これは、炎症が起きているためです。
腫れは、主に足の親指の付け根に起こりますが、足の他の関節や手、肘、膝などにも見られることがあります。
痛風の前兆3. 足の親指にピリピリとした違和感がある
痛風では、痛みが発生する前に、足の親指にピリピリとした違和感を感じる場合もあります。
この違和感は、痛みが始まる数日前から感じることもあれば、数時間前から感じることもあります。
痛風の前兆4. 夜中に足の激痛で目が覚める
痛風は、夜中に突然、激しい痛みが起こることが特徴です。
これは、夜間は尿酸値が高くなりやすいためです。
痛みがひどい場合は、寝返りを打つのも困難なほどです。
痛風の前兆5. 関節が硬直して動きにくい
痛風では、関節が硬直して動きにくくなることもあります。
これは、関節に尿酸の結晶が沈着し、炎症を起こしているためです。
特に、朝起きた時や長時間同じ体勢でいると、関節が硬直して動きにくくなることがあります。
痛風の前兆6. 関節に熱感がある
痛風では、関節が熱くなることもあります。これは、炎症が起きているためです。
熱感は、痛みが発生する前、または痛みが発生している間に出現することがあります。
痛風の前兆7. 関節に小さな白い結節ができる
痛風では、関節に小さな白い結節ができることがあります。
これは、尿酸の結晶が沈着したものです。
結節は、主に足の親指の付け根や耳たぶなどにできます。
痛風チェックリスト
痛風を早期発見するためには、日頃から自分の体の状態に注意することが大切です。
以下のチェックリストを活用して、痛風の疑いがないか確認してみましょう。
痛風チェックリスト
□足の親指の付け根がズキズキする。
□足の親指が腫れて赤い。
□足の親指にピリピリとした違和感がある。
□夜中に足の激痛で目が覚める。
□関節が硬直して動きにくい。
□関節に熱感がある。
□関節に小さな白い結節ができる。
上記の項目に一つでも当てはまる場合は、痛風を疑い、医療機関を受診することをおすすめします。
痛風は女性にも起こる!見逃し厳禁のサイン
痛風は、男性に多く見られる病気ですが、女性にも起こります。
女性は男性に比べて、尿酸値が低く、痛風になりにくいとされてきました。
しかし、近年では女性の痛風患者が増加傾向にあります。
これは、女性の社会進出に伴い、男性と同じような生活習慣を送るようになったこと、また、閉経後に女性ホルモンの分泌量が減少することなどが原因と考えられます。
女性は、男性に比べて、痛風の症状が分かりにくい場合があり、早期発見が難しい場合があります。
女性は、以下のような症状に注意が必要です。
・足の親指だけでなく、手の指や手首、肘、膝などの関節にも痛みが発生する。
・痛みが軽い、または痛みが長引かない。
・痛みが頻繁に繰り返される。
これらの症状に心当たりがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
痛風を早期発見するためにできること
痛風は、早期発見・早期治療が非常に大切です。
痛風を早期発見するためにできることとして、以下の3つがあります。
1. 痛風チェック!
上記の痛風チェックリストを活用し、当てはまる症状がないか確認をしましょう。
もし当てはまる項目がある場合には、早めに医療機関の受診をおすすめします。
2. 痛風になりやすい人は要注意!生活習慣を見直そう!
痛風は、生活習慣病の一つです。
痛風になりやすい人の特徴として、以下のようなものがあります。
・高尿酸血症
・肥満
・高血圧
・高脂血症
・糖尿病
・アルコールの過剰摂取
・プリン体が多い食品の摂取
・運動不足
これらの特徴に心当たりがある方は、痛風のリスクが高いと考えられます。
痛風のリスクを減らすためには、生活習慣を見直すことが大切です。
特に、以下の内容について気をつけると良いでしょう。
・体重管理
肥満は痛風の大きなリスク因子です。体重を減らすことで、尿酸値を下げることができます。
・食事療法
プリン体が多い食品の摂取を控えるようにしましょう。プリン体が多い食品には、内臓肉、魚卵、エビ、カニ、シイタケなどがあります。
・禁酒
アルコール、特にビールは尿酸値を上昇させるため、禁酒または節酒をするようにしましょう。
・運動
運動不足は、尿酸値を上昇させる原因の一つです。
適度な運動をするようにしましょう。
3. 痛風は放置すると危険!早期受診がカギ!
痛風は、放置すると、関節の変形や機能障害を引き起こすだけでなく、腎臓病や心疾患、脳血管障害、尿路結石などの合併症のリスクも高まります。
痛風を早期に発見し、適切な治療を受けることで、これらの合併症のリスクを減らすことができます。
痛風の症状に心当たりがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
痛風の治療法と対策
痛風の治療法は、主に薬物療法と食事療法です。
1. 痛風の治療法、最新情報!あなたの症状に合った治療を見つけよう!
痛風の治療法は、痛みの程度や頻度、合併症の有無などによって異なります。
痛風の治療薬には、以下の種類があります。
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 痛みや炎症を抑える効果があります。
・コルチコステロイド: 強い抗炎症作用があります。
・尿酸降下薬: 尿酸値を下げる効果があります。
尿酸降下薬は、痛風の根本的な治療薬です。
尿酸降下薬には、様々な種類があり、患者さんの状態に合わせて最適な薬が選択されます。
2. 痛風は食事療法が重要!効果的な食事の選び方
痛風の食事療法は、痛風を治療し、再発を防ぐために非常に重要です。
痛風の食事療法では、プリン体の摂取を控えることが必要です。
プリン体は、体内で分解されると尿酸になるため、プリン体の摂取量が多いと尿酸値が上昇しやすくなります。
プリン体が多い食品には、内臓肉、魚卵、エビ、カニ、シイタケなどがあります。
これらの食品を控えるだけでなく、野菜や果物、乳製品、豆腐などを積極的に摂取するようにしましょう。
また、水分を十分に摂取することも重要です。
水分を摂取することで、尿酸が体外に排出されやすくなります。
よくあるご質問
Q:痛風が一日で治ることはありますか?
A:痛風の急性の痛み(発作)は、一日で軽減することがありますが、完全に治るわけではありません。
痛風は、放置すると関節の変形や機能障害、腎臓病などの合併症を引き起こす可能性がありますので、痛風の疑いがある場合には、必ず医療機関を受診しましょう。
また、根本原因である高尿酸血症は継続しているため、適切な治療と生活習慣の改善が必要です。
Q:痛風の時にやってはいけないことは?
A:痛風の発作中に避けるべきことは以下の通りです。
アルコールの摂取、高プリン体食品の摂取、無理な運動です。
また、発作が起きてしまったら放置せずに、正しい対処法と医療機関での治療を受けることが大切です。
まとめ
痛風は、血液中の尿酸値が高くなり、尿酸が結晶化して関節に沈着することで起こる病気です。
放置すると、関節の変形や機能障害だけでなく、腎臓病や心血管病などの合併症を引き起こす可能性があります。
痛風の初期症状は、足の親指の付け根の痛みや腫れ、赤みなどですが、女性の場合は症状が軽度であったり、他の関節にも痛みが出たりすることがあるため、注意が必要です。
痛風の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
また、プリン体が多い食品やアルコールの摂取を控え、適度な運動を心がけるなど、生活習慣を見直すことも重要です。
もし体調に不安がある方は、お気軽に当クリニックまでお越しください。
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参考文献
高尿酸血症・痛風の 治療ガイドライン 治療ガイドライン作成委員会 日本痛風・核酸代謝学会
https://www.tukaku.jp/securewp/wp-content/uploads/2012/11/guideline01.pdf
MSDマニュアル プロフェッショナル版 痛風
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/06-%E7%AD%8B%E9%AA%A8%E6%A0%BC%E7%B3%BB%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%B5%90%E6%99%B6%E8%AA%98%E7%99%BA%E6%80%A7%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%82%8E/%E7%97%9B%E9%A2%A8?query=%E7%97%9B%E9%A2%A8