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悩まされる不眠症の原因と治療法

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不眠症とは、
①入眠障害(寝つきが悪い)
②中途覚醒(眠りが浅く何度も目が覚める)
③早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)

などのタイプがあり、そのために日中に集中力低下・意欲低下・倦怠感や食欲低下などの症状が現れる病気です。
不眠を経験される方は多く、自然に改善して再び眠れるようになることが大部分ですが、慢性不眠症に陥ると適切な治療を受けなければ回復しにくい病気と言われています。
 
今回の記事では不眠症について原因と治療法などを解説します。
 
 

不眠症の原因

一般成人の30~40%が何らかの不眠症状を患っており、慢性不眠症は成人の約10%に見られ、原因はストレスや精神疾患、アルコール、薬剤の副作用など多岐にわたります。また加齢とともに不眠症状は増加し、60歳以上では半数以上の方が不眠症状を認められます。このように不眠症は特殊な病気ではなく、よくある普通の病気なのです。
 

不眠症の原因と症状

 
不眠症の原因はストレス・生活リズムの乱れ・こころや身体の病気・薬の副作用など様々な原因があり、それに応じた対処が必要になります。
不眠が続くと不眠恐怖が生じて、緊張や睡眠状態へのこだわりのために、さらに不眠が悪化するという悪循環に陥ります。症状としては集中力低下・意欲低下・倦怠感・食欲不振・抑うつ・頭重・めまいなど多岐にわたる症状があります。
 

不眠症の診断

 
不眠症は、下記の二つが認められたとき不眠症と診断されます。

  • ① 夜間の不眠が続き
  • ② 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する

 
慢性不眠症(慢性不眠障害)と短期不眠症(短期不眠障害)の二つに分けられ、不眠と日中の不調が週3日以上あり、それが3ヶ月以上続くと慢性不眠症、3ヶ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。

 
 

不眠症の治療方法

不眠症の治療は、「薬物療法」と「非薬物療法」の2つに分けられます。
「薬物療法」では、薬による治療を行い、「非薬物療法」では、薬を服用せずに生活習慣や睡眠環境の改善により不眠症の治療を行います。
まずは不眠の原因を診断し「非薬物療法」の治療から行います。
 

生活習慣・睡眠環境の改善

不眠症の治療の第一歩は様々な不眠の原因を診断し取り除くことと、それに加えて自分流の安眠法を工夫することが効果的です。安眠のための生活習慣・睡眠環境の改善のコツを以下にまとめました。

  • 就寝・起床時間を一定にする
    平日・週末に関わらず同じ時刻に就寝起床する習慣を身につけることが大事です。
  • 睡眠時間にこだわらない
    睡眠時間には個人差があるので、何時間眠りたいという目標は立てないで下さい。
  • 適度の運動をする
    負担にならない程度の有酸素運動を継続することが効果的です。
  • 寝る前にリラックスタイムを
    副交感神経を優位にさせ、睡眠の質を向上させることができます。
  • 太陽の光を浴びる
    早朝に光を浴びると寝つく時間が早くなり、朝も早く起きられるようになります。
  • 自分流のストレス解消法を
    気分転換をはかり、ストレスをためないようにしましょう。
  • 快適な寝室づくりを
    寝具は自分に合ったものを選び、温度や湿度にも注意が必要です。
  • 寝酒はNG
    飲酒後は深い睡眠が減り、早朝覚醒が増えてきますので、特に深酒は禁物です。

 

薬物療法と副作用

非薬物療法を行っても不眠が改善されない場合は不眠治療薬の使用を検討します。近年では新しい種類の不眠治療薬も開発され、選択肢が増えてきています。薬物療法を始めても非薬物療法は継続していきましょう。
下記にて不眠症治療薬の種類と特徴をお伝えします。
 

①ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系

脳の興奮を抑えるGABA(ガンマアミノ酪酸)という神経伝達物質の働きを促し、脳の活動を休ませ睡眠作用をもたらします。
薬が効き始める時間、薬の効果が続く時間は以下の通りに分類されます。
 

分類作用時間
ベンゾジアゼピン系超短時間型2~4時間
短時間型6~8時間
中時間型10~12時間
非ベンゾジアゼピン系超短時間型2~4時間

 
・超短時間型、短時間型は即効性があり、翌朝の効果の持ち越しが少ないため、入眠障害の不眠症に適しています。ただ効果が短く、中途・早朝覚醒の不眠症には適していません。また依存性が起きやすく、頻回使用していると同じ量では眠れなくなったりします。
 
・中時間型は作用時間が長く、中途・早朝覚醒の不眠症には適しています。ただ即効性はないため、入眠障害の不眠症には適していません。また効果が長いため、翌朝の持ち越しがあったりして日中のふらつきが起きる事があります。
 
・ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の違いは、副作用の筋弛緩作用があるかないかです。そのため超短時間型では筋弛緩作用がない非ベンゾジアゼピン系のお薬がおすすめになります。
 

②メラトニン受容体作動薬

脳内にはメラトニンという体内時計の調節をするホルモンがあり、メラトニンが作用する部分を刺激することにより、体内時計を整えて睡眠を促します。
この薬のメリットはベンゾジアゼピン系にみられる依存性や耐性が少ないことですが、デメリットは即効性がある薬ではなく、効果が出るのに2週間程度が必要と言われています。
 

③オレキシン受容体拮抗薬

脳内にはオレキシンという覚醒を維持するホルモンがあり、脳内でのオレキシンの働きを弱めることにより睡眠を促します。
この薬のメリットは即効性もある程度あることと、依存性や耐性も少ないとされていますが、デメリットは眠気が残ったりすることや悪夢をみやすいことがあると言われています。  
不眠症治療薬はそれぞれに特徴があるため、医師と相談の上、症状に適した治療薬を服用することが大事ですが、不眠症治療薬が抱える問題点があることも認識をした上で服用することが必要になります。
 

不眠症治療薬の副作用

  • 日中への効果の持ち越し
    薬の効果が翌朝も持続し、午前中に眠気があったり、ふらつきが出たりします。
  • 筋弛緩作用
    筋肉を弛緩させるものもあり、転倒の危険性があります。
  • 依存性
    薬を服用していないと不安になったり、落ち着かなくなってしまう等の精神的な依存症になることもあります。
  • 記憶障害
    薬を服用した後の記憶が曖昧になったり、忘れてしまうことがあります。
  • 反跳性不眠
    続けて服用していた不眠症治療薬を突然中止したことによって、不眠症が強く出てしまうことがあります。薬を中止する場合は、少しずつ減らしていきましょう。

 
 

まとめ

この記事では、不眠症の原因と症状、不眠症の治療方法について解説しました。当クリニックの外来診療では内科・血液内科を中心とした診療を行っておりますが、不眠症などそれ以外の診療科目でもご相談を承っております。
お身体やこころに不調や不安がありましたら、どんな症状でもお気軽にご来院ください。

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