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アレルギー性喘息の原因とは?

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アレルギー性喘息は、花粉やハウスダストなど、身近に存在するアレルゲンが原因で、咳や呼吸困難、喘鳴などの症状を引き起こす疾患です。特に夜間や早朝に症状が悪化しやすく、生活の質に大きく影響します。

本記事では、アレルギー性喘息の主な原因と、喘息とアレルギーの関連性について詳しく解説します。
また、効果的な治療方法や予防方法についても紹介します。喘息の可能性がある方や、症状にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

アレルギーと喘息の関連性

喘息とアレルギーは深く関連しており、喘息の主な原因の一つがアレルギー反応です。特に「アレルギー性喘息」と呼ばれるタイプの喘息は、アレルギー物質(アレルゲン)への反応が引き金となって発症します。代表的なアレルゲンは、花粉やハウスダスト、ダニ、カビなどです。これらの物質が気道に入り込むことで、免疫反応が過剰に起こり、咳や息切れ、喘鳴(ぜんめい)などの症状が現れます。

アレルギー性喘息の症状

アレルギー性喘息は、アレルギー物質(アレルゲン)が原因で気道が過敏になり、さまざまな症状を引き起こす疾患です。代表的な症状として、呼吸困難を伴う喘鳴や発作的な激しい咳が挙げられます。

喘鳴とは、呼吸時に「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」といった音が聞こえる状態です。特に夜間や早朝に症状が悪化しやすく、日常生活に支障をきたすこともあります。発作的な咳は、気道の炎症や収縮によって引き起こされ、呼吸が浅くなることでさらに息苦しさを感じるのが特徴です。

アレルギー性喘息のセルフチェック

自分がアレルギー性喘息かどうかを確認するために、簡単なチェックリストを紹介します。
☑咳が止まらなくて呼吸困難になることがある
☑間から早朝に症状が出やすい
☑アレルゲン(煙、ハウスダスト等)をきっかけに症状が出現、悪化する
☑呼吸すると喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)と聞こえる
☑3週間以上持続する咳嗽がある
☑症状は日内変動がある

これらの症状は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、胃食道逆流症でも当てはまる可能性があるため、診断を受けるのが大切です。上記の項目に多くあてはまる場合は、当クリニックまでお気軽にご相談下さい。

アレルギー性喘息の診断方法

アレルギー性喘息を診断する際は、以下の3つの方法が用いられます。

  • 臨床所見
  • 血液検査
  • 呼吸機能検査

詳しく解説します。

臨床所見

アレルギー性喘息の診断には、臨床所見が大切です。主な症状として、発作性の呼吸困難、喘鳴(ゼーゼーとした呼吸音)、息苦しさが挙げられます。特に、これらの症状が早朝や夜間に繰り返し現れるのが喘息の特徴です。

これらの症状は季節の変動やストレス、花粉やダニ、カビ、動物の毛など特定のアレルゲンにさらされた際に誘発されます。そのため、患者の生活環境や家族歴も診断の手がかりとなり、アレルギー疾患の既往歴がある場合、喘息の可能性が高いです。

血液検査

血液検査は、アレルギー性喘息の原因特定や重症度の把握に役立ちます。具体的な指標と基準値は以下の通りです(1)。

検査項目正常値内容
血清総IgE300IU/ml以下IgEは、アレルギー反応に関与する抗体で、IgE値が高いほど、アレルギー反応が強い可能性。気管支喘息でも正常な場合もある。
抗原特異的IgE (MAST48)陰性特定のアレルゲン(例:ダニ、カビ、ペットの毛、花粉など)に対するIgE抗体を測定。喘息の原因となるアレルゲンを特定できる。
好酸球数500/μl未満好酸球の増加は、気道の炎症やアレルギー反応の存在を示唆。
CRP0.3 mg/dL以下体内で炎症が起きた際に肝臓で産生されるタンパク質です。感染症や他の炎症性疾患が喘息症状に関与している可能性。

これら検査により、花粉やハウスダスト、食品アレルギーなど、患者ごとのアレルギー原因物質が明らかになります。血液検査は比較的簡単に実施できるため、初期診断として有効です。検査結果を基に、医師は患者に適した治療方針を立てることができます。

呼吸機能検査

呼吸機能検査は、気道の狭窄や肺活量の異常を評価するための指標です。代表的な方法として、スパイロメトリーが用いられます。これは、患者が一秒間にどれだけの空気を吐き出せるかを測定する「1秒量」や、全呼気量に占める1秒量の割合である「1秒率」を評価する検査です。1秒率70%未満の場合、気道狭窄が疑われます(2)。

また、気管支拡張薬を使用した後の改善度を測定することで、喘息特有の可逆性気道狭窄の診断が可能です(3)。呼吸機能検査は非侵襲的であり、定期的に実施することで治療効果や症状の進行具合を確認できます。

アレルギー性喘息の治療方法

アレルギー性喘息の治療方法は、大きく2つに分けられます。

  • 薬物療法
  • 免疫療法

それぞれ詳しく解説します。

薬物療法

薬物療法はアレルギー性喘息の基本的な治療法です。吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬が用いられ、気道の炎症を抑えます。これらは長期的な症状のコントロールに効果的です。

効果が不十分な場合には、長時間作用性β2刺劇薬や長時間作用性抗コリン薬を追加します。一方で、喘息発作が起きた際には、短時間作用性吸入β2刺劇薬を使用し、迅速に気道を拡張して呼吸を楽にします。

免疫療法

免疫療法は、喘息の原因となるアレルゲンに対する体の過剰な免疫反応を抑制し、症状を改善する治療法です。この方法では、患者のアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)を少量ずつ投与し、身体を徐々にそのアレルゲンに慣らしていきます。投与は注射や舌下投与がメインです。

この治療法により、アレルギー症状の改善,投与薬物の減量、長期予後の改善等の効果がみ
られます(4)。ただし、効果が現れるまでに数年かかるため、長期的な視点で取り組むことが必要です。

アレルギー性喘息の予防方法

アレルギー性喘息の予防方法は、以下の2つの方法があります。

  • アレルゲンの除去
  • 生活習慣の改善

詳しく解説します。

アレルゲンの除去

アレルギー性喘息の発症を防ぐためには、アレルゲンを特定し、できる限り回避するのが基本です(5)。
一般的なアレルゲンには、ダニ、ホコリ、カビ、ペットの毛、花粉などがあります。例えば、ダニを減らすためには、布団やカーペットを定期的に掃除し、布団カバーを防ダニ仕様のものに変えると効果的です。

また、空気清浄機を使用して室内の空気を清潔に保つことも有効です。屋外では花粉が多い時期の外出を控えるか、マスクを着用して対策しましょう。これらの対策を日常生活に取り入れることで、アレルギーによる喘息発作のリスクを低下させられます。

生活習慣の改善

アレルギー性喘息の予防には、喘息の発症要因と増悪要因を回避した生活習慣が大切です。まず、喫煙や受動喫煙を避けることが重要です。タバコの煙は気道過敏性を亢進させ、喘息症状を悪化させる原因になります(6)。

また、適度な運動も大切ですが、運動により運動誘発性喘息が引き起こされる場合があります。運動誘発性喘息を起こしにくい運動は、自転車運動、水泳、歩行などです(7)。冷たい空気や激しい運動はトリガーになることがあるため、無理のない範囲で行いましょう。

よくある質問

Q.喘息で食べてはいけない食べ物とは?

喘息と食物アレルギーを持つ人は、アレルギーを引き起こす食べ物に注意が必要です。具体的には、乳製品、卵、ナッツ類、魚介類、小麦などがアレルゲンとして知られています。また、香辛料やカフェインなどの刺激物、添加物や防腐剤を含む食品なども喘息症状を悪化させる要因になります。

Q.喘息はアレルギーの何型?

喘息は、アレルギー反応の一種である「即時型アレルギー(I型)」に分類されます。アレルギー反応の中でも早く症状が現れるタイプで、IgE抗体が関与する免疫反応です。この反応は、アレルゲン(抗原)に対する過剰な免疫応答によって引き起こされ、症状はアレルゲンとの接触後15〜30分以内に現れるのが特徴です。

Q.喘息は一生治らない?

喘息は、今のところ完治させる治療法はありません。ただ、小児喘息は適切な治療を継続すれば、思春期までに治癒する場合もあります。成人では、治療により症状をコントロールすることで、健康な人とほとんど変わらない生活を送ることも期待できます。

Q.アレルギー性気管支炎と喘息の違いとは?

アレルギー性気管支炎と喘息の違いは、以下の通りです。

項目アレルギー性気管支炎喘息
症状・乾いた咳から始まり、湿った咳に変化
・早朝や就寝直後に悪化
・発熱がない場合が多い
・夜間や早朝に悪化する咳が特徴
・発作的に咳が続くことが多い
・発熱なし
呼吸困難なしあり
持続期間数週間から数ヶ月症状は発作的で、治療がないと慢性的に続く
治療・気管支拡張薬
・抗ヒスタミン薬
・吸入ステロイド薬
・短時間作用型β2刺激薬(SABA)
・アレルゲン免疫療法

喘息とアレルギーの関連性を理解して快適な生活を送りましょう

喘息はアレルギーと深く関係しており、特に「アレルギー性喘息」は花粉やハウスダストなどのアレルゲンが引き金です。
症状には咳、呼吸困難、喘鳴が含まれ、夜間や早朝に悪化しやすいのが特徴です。

診断には、臨床所見や血液検査、呼吸機能検査が用いられ、アレルギー喘息に特徴的な症状から判断します。基本的には吸入ステロイド薬による症状のコントロール、免疫療法により長期的に症状を改善させる方法があります。アレルギー性喘息の完治は困難ですが、発症・増悪予防としてアレルゲンの除去や禁煙、適度な運動が大切です。

喘息の症状でお悩みの方は、当クリニックまでお気軽にご相談下さい。

【参考文献】
日本内科学会雑誌第99巻第4号 西川 正憲『I型アレルギーの検査法』
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/99/4/99_860/_pdf
日本内科学会雑誌第109巻第12号 湯澤 基, 山口 泰弘『呼吸機能検査の理解と臨床応用』
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/12/109_2496/_pdf
日本内科学会雑誌/95巻(2006)8号 谷本 安『診断へのアプローチ』
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/95/8/95_8_1437/_pdf/-char/ja
日本内科学会雑誌第109巻第5号 永田 真『アレルゲン免疫療法の現状と展望』
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/5/109_995/_pdf/-char/ja
アレルギー/67巻(2018)9号/p.1263-1268 中村 陽一『喘息予防・管理ガイドライン(成人喘息)2018』
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/4/69_245/_pdf
アレルギー/64巻(2015)8号/p.1127\1134 今野 哲『喫煙と成人喘息、COPD』
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/64/8/64_1127/_pdf
日本小児アレルギー学会誌/17巻(2003)5号/p.551-557 進藤 宗洋『運動誘発性喘息の発生機序と安全な運動の内容』
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci1987/17/5/17_5_551/_pdf

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