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頭痛とは

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頭痛は「頭(の一部または全体)が痛い」症状のことを指します。頭痛は、大きく別けて、一次性頭痛と二次性頭痛があります。二次性頭痛は、脳出血や脳卒中など頭部や脳の疾患の症状の一部として出現する頭痛、一次性頭痛は、他の疾患がない繰り返す慢性的な頭痛です。頭痛が起こったら、まずは一次性頭痛と二次性頭痛を見極めることが重要となります。
 

二次性頭痛の除外

頭痛を訴える患者さんの診断は、まず二次性頭痛を除外することから始まります。二次性頭痛は、その頭痛が他の疾患を原因とする頭痛と判断できる場合に診断しますが、原因となる疾患には命の危険に関わるものがあるため、頭痛の状態やその他の症状から、二次性頭痛が疑われる場合には積極的な検索をする必要があります。
日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修「頭痛の診療ガイドライン2021」において、二次性頭痛のレッドフラッグ(見逃してはいけない疾患を示唆する兆候や症状)として15項目があげられています。
 

二次性頭痛のレッドフラッグ

  • ① 発熱を含む全身症状(例:項部硬直、意識レベル低下、神経脱落症状)
  • ② 新生物の既往
  • ③ 神経脱落症状または機能不全(意識レベル低下を含む)
  • ④ 急または突然に発症する頭痛
  • ⑤ 高齢(50歳以降)
  • ⑥ 頭痛パターンの変化 または 最近発症した新しい頭痛
  • ⑦ 姿勢によって変化する頭痛
  • ⑧ くしゃみ、咳 または 運動により誘発される頭痛
  • ⑨ 乳頭浮腫
  • ⑩ 進行性の頭痛、非典型的な頭痛
  • ⑪ 妊娠中 または 産褥期
  • ⑫ 自律神経症状を伴う眼痛
  • ⑬ 外傷後に発症した頭痛
  • ⑭ HIVなどの免疫系病態を有する患者
  • ⑮ 鎮痛薬使用過多もしくは薬剤新規使用に伴う頭痛

 
 

一次性頭痛の診断

二次性頭痛を除外することができたら、一次性頭痛と判断します。一次性頭痛は繰り返す慢性的な頭痛で、日本では15歳以上の39.6%の方が該当するとされています。一次性頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、その他の頭痛の4種類に分けられます。日本では、緊張型頭痛の有病率が22.3%と多く、次いで片頭痛8.4%、群発頭痛0.4%です。
 

片頭痛

片頭痛は、発作的に起こり数時間から2~3日継続する、ズキンズキンと脈打つような痛みの頭痛です。頭痛前に前兆があるタイプ、前兆のないタイプに分類されます。前兆症状は、視覚症状(キラキラ・ギザギザの光が視界に現れる閃輝暗点)が最多で、その他に、感覚症状(チクチク感や感覚鈍麻等)、言語症状(言葉が出にくくなる)等があります。前兆が5分~1時間程度続いた後、頭痛が起こります。片頭痛の名称のとおり、片側のこめかみから目にかけて痛むとされていますが、実際には両側や後頭部が痛むことも多くあります。頭痛以外に、吐き気や嘔吐、感覚過敏、肩こり、めまいなどの症状を伴い、日常動作によって頭痛が増強するため、生活に支障が出てしまうことがあります。
 

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、一次頭痛の中で最も多い頭痛で、世界人口における有病率38%と言われています。頭痛発作の頻度により、反復性(頭痛の出現が1ヵ月に15日未満)と慢性(頭痛の出現が1ヵ月に15日以上)に大別されます。頭が締め付けられるような、または、圧迫されるような痛みの頭痛で、数十分~数日間持続します。一般的には、後頭部を中心とした両側性の頭痛で、痛みの強さは軽度~中等度、日常動作による痛みの増悪はなく、寝込んでしまうほどの症状にはなりません。
 

群発頭痛

群発頭痛は、三叉神経・自律神経性頭痛の病型の中に含まれる頭痛です。発症年齢は20~40歳、有病率は男女比5~6.7:1で男性に多いとされていましたが、最近では徐々に男女比が小さくなっていると報告されています。5~180分持続する、眼周囲、前頭部、側頭部のいずれかの部位の激しい頭痛が、数週間~数ヶ月の期間のうちに群発(しきりに起こること)します。頭痛以外の症状として、結膜充血または流涙、鼻閉または鼻漏、眼瞼浮腫、前額部・顔面の発汗、縮瞳または眼瞼下垂等を認めます。7日~1年間続く群発期が3ヵ月以上の寛解期を挟んで2回以上あるものを反復性群発頭痛、1年間以上の頭痛発作が起こっており、寛解期がないまたは寛解期が3ヵ月未満のものを慢性群発頭痛と分類します。

  
 

一次性頭痛の治療

片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛のいずれにおいても、症例の状態にあわせた薬物療法が主体となります。片頭痛、群発頭痛においては、急性期治療と予防療法を組み合わせて行います。緊張型頭痛では、日常生活に支障が出るような頭痛の頻度で、重症度が高い場合には治療を行います。
 

一次性頭痛で使用される主な薬剤

急性期治療予防療法
片頭痛・非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
・アセトアミノフェン
・エルタミン製剤
・トリプタン系薬剤
・制吐薬
・β遮断薬
・カルシウム拮抗薬
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬
・アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬
・抗てんかん薬
・抗うつ薬
緊張型頭痛・非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
・カフェイン ・抗うつ薬 ・抗不安薬 ・筋弛緩薬
・ボツリヌス毒素(他の薬では痛みが抑えられない場合)
群発頭痛・トリプタン系薬剤・カルシウム拮抗薬
・酒石酸エル御タミン
・副腎皮質ステロイド

  
 

まとめ

この記事では、頭痛について簡単に解説しました。当クリニックの外来診療では内科・血液内科を中心とした診療を行っており、既に一次性頭痛で治療中の患者さんの診療はもちろん、健康診断や人間ドックで「再検査」「精密検査」の通知を受けた後のご相談等も承っております。
お身体に不調や不安がありましたら、どんな症状でもお気軽にご来院ください。
 

参考文献

一般社団法人 日本頭痛学会 ホームページ
頭痛の診療ガイドライン2021
 発行2021年10月15日 2021年版第1刷,監修日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会,
 編集 「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会,発行者 株式会社 医学書院
・厚生労働省委託事業 公益財団法人日本医療機能評価機構 Mindsガイドラインライブラリ
 Minds やさしい解説 図解 慢性頭痛(2011年3月11日 第1版公開)

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