血液内科

血小板の異常

Abnormal platelets

血小板とは

血小板とは、血液中の血液細胞の1種類であり、赤血球、白血球と並ぶ重要な血液細胞です。血液は、「血漿」と呼ばれる液体成分に固形の『血球』(血液細胞)が混じり合っています。血球には、赤血球、白血球、血小板の3つの種類があります。
その内、血小板が持つ主な働きは「出血時に血液を固めて傷を塞ぎ出血を防ぐ」という働きです。
血小板は、骨髄の中の巨核球という細胞の一部がちぎれたものです。
1つ1つが独立した核を持っている赤血球や白血球とは異なり、核を持たず、突起のあるいびつな形をしています。黄色がかった色をしており、大きさは約2μm(マイクロメートル)で赤血球や白血球の細胞よりも小さく、正常状態の血中では、15万~40万個/μL程度含まれています。
平均寿命は8~12日で、寿命を迎えた血小板は主に脾臓で破壊され、一部は血中でも破壊されます。血小板の約1/3は脾臓に存在しています。

血小板の役割

血小板には、止血と血液凝固の働きがあります。
血小板は、何らかの原因により血管が傷つき出血したときに活性化し、血管の傷に血小板が血漿のフィブリノーゲン(血液凝固因子の一つ)によって、血小板同士が接着してのり状となり、血管の壁の傷口を防いで血栓をつくります。その状態からさらに凝固成分が放出され、血漿の凝固を助け、他の血小板や赤血球を密着させて強力に止血をします。このときつくられるのが、一般的に「かさぶた」と呼ばれるものです。
血小板の重要な役割は、出血の際の止血が主ですが、血管内皮細胞を維持するための物質を供給したり、炎症、免疫、感染防御、動脈硬化、がんの転移や発育など、様々な生体反応にも深くかかわっていると考えられています。

血小板数の減少

血小板数が通常の数値より少ない数値を示す場合は、血小板を作る量が減ることによる再生不良性貧血や急性白血病、肝硬変、血小板の消費が増えることによる特発性血小板減少性紫斑病、膠原病などが疑われます。

偽性血小板減少症

自動血球計数器での測定時に、真の血小板数よりも低く測定される「見かけ上の血小板減少」が起こることがあります。自動血球計数器は血小板の大きさで判定しているため、血小 板凝集塊や大型血小板は白血球と誤認されてカウントされます。その結果、血小板数が低下します。また反対に、小赤血球、白血球、赤血球のフラグメントなどが血小板と誤認され、血小板としてカウントされる場合もあります。血液一般部門でよく遭遇するのが、血小板凝集による「見かけ上の血小板減少」です。この原因としては、採血手技によるものが大半です。採血に時間を要した場合や、採血管に血液を入れてから充分に転倒混和されなかった場合にも、血小板凝集が起こりやすくなります。

血小板数の減少の主な原因

特に紫斑や鼻出血などの出血症状を伴う場合や、血小板数が5万/μL以下の場合は早急に専門医の受診することが必要です。
血小板数減少の原因は、大別して血小板数減少には骨髄における産生能力の低下、末梢における血小板利用・破壊の亢進、血小板の体内臓器での分布の異常─の3つの原因があり、先天性(遺伝性)血小板機能異常症では血小板数減少を伴うものと伴わないものがあります。

骨髄不全による汎血球減少

再生不良性貧血や急性白血病など3血球系統すべてに障害が出る場合と、血小板を産生する巨核球に限った障害として先天性無巨核球性血小板減少症、といった疾患が問題になる場合があります。

血小板破壊による血小板寿命の低下に起因する血小板減少

特発性血小板減少性紫斑病(ITP; idiopathic thrombocytopenic purpura)は血小板減少症のなかでも最も頻度が高い疾患です。自己免疫学的機序が想定されていますが、ウイルス感染に伴うものが最も多く、SLEなど膠原病関連でみられることもあり、また、ピロリ菌感染による場合もあります。

血小板消費の亢進による血小板減少

播種性血管内凝固症候群(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)などでみられます。

薬剤性血小板減少

ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)が最もよく知られています。これには非免疫学的機序で発症するⅠ型と、ヘパリン依存性の自己抗体が出現するⅡ型があります。

体内臓器での血小板分布異常による血小板減少

骨髄線維症などに伴う脾機能亢進症(hypersplenism)、巨大血管腫などによる血小板の血管腫内貯留(Kasabach-Merrit症候群)などでみられます。

血小板数の増加

血小板数が通常の数値より多すぎる数値を示す場合は、以下のような原因が考えられます。血小板数が45万/µL(基準値は15万~40万個/µL)を超えた場合は血液疾患の可能性が高く、血液が必要以上に固まり血栓ができやすくなる(血栓傾向)、正常に血液が固まらなくなり出血しやすくなる(出血傾向)の2つのパターンがあります。血栓傾向の場合、放置すると血栓症(心筋梗塞や脳梗塞など)を発症する場合もありますので、早急に専門医の受診することが必要です。

炎症や貧血などの刺激によるもの(反応性血小板増加症)

重度の鉄欠乏性貧血、悪性腫瘍、肺炎などの炎症性疾患、抗がん剤投与後など。

血小板が異常に多く作られる病気(原発性血小板増加症)

本態性血小板血症、真性多血症、慢性骨髄性白血病など。

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