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悪性リンパ腫と白血病の違いとは

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悪性リンパ腫と白血病の違い
血液のがんと聞いて、多くの方が思い浮かべるのが「白血病」や「悪性リンパ腫」ではないでしょうか。
どちらも血液細胞に関わる病気ですが、その発症の仕組みや進行の仕方、治療法には大きな違いがあります。
本記事では、血液がんの代表である「悪性リンパ腫」と「白血病」について、現役の血液専門医が、初心者にも分かりやすく解説します。

悪性リンパ腫と白血病の定義と発症部位の違い

まずは、それぞれの病気が「どこで」「どのように」発生するのかを解説していきます。

悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫は、リンパ組織(リンパ節や脾臓、骨髄など)にできる血液のがんです。
リンパ球(白血球の一種)ががん化し、異常に増殖することで発症します。
悪性リンパ腫には大きく分けて「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2つのタイプがあり、日本では非ホジキンリンパ腫が圧倒的に多い傾向にあります。

ホジキンリンパ腫・特徴的な異常細胞(Reed-Sternberg細胞)が認められる
・欧米では若年層に多く、日本では比較的少ない
・早期発見・治療により高い治癒率を誇る
非ホジキンリンパ腫・ホジキン型以外のすべてのリンパ腫を含む総称
・約60種類以上のサブタイプがあり、多様性が非常に高い
・日本人に多く、特にB細胞性リンパ腫が主流

白血病とは?

白血病は、骨髄で作られる白血球ががん化して異常増殖する血液のがんです。
白血球が増えすぎることで正常な赤血球や血小板が作れなくなり、貧血や出血傾向、感染症にかかりやすくなります。
白血病には、急性(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病など)と慢性(慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病など)のタイプがあり、それぞれ進行速度や治療法が異なります。

分類急性慢性
リンパ系急性リンパ性白血病(ALL)慢性リンパ性白血病(CLL)
骨髄系急性骨髄性白血病(AML)慢性骨髄性白血病(CML)

悪性リンパ腫と白血病の違い

項目悪性リンパ腫白血病
発症部位主にリンパ節やリンパ組織骨髄内の白血球ががん化
主な症状リンパ節の腫れ、発熱、体重減少、寝汗など貧血、感染症、出血、倦怠感など
白血球数値正常〜やや増加/減少(病期や型による)大幅に増加または白血球減少
末期症状多臓器への浸潤(肝臓、骨髄、脳など)骨髄機能の破綻、多臓器不全
治療法抗がん剤、放射線治療、抗体療法など抗がん剤、骨髄移植、分子標的療法など
併発の可能性他のがんや白血病との併発あり他のがんやリンパ腫との併発例も報告あり

主な症状と発見されやすいタイミング

悪性リンパ腫と白血病の主な症状や発見されやすいタイミングについて解説していきます。

悪性リンパ腫の症状

初期は無症状の場合もありますが、以下のような症状がみられることがあります。

  • 首やわきの下、鼠径部などのリンパ節の腫れ(無痛)
  • 長引く微熱
  • 夜間の寝汗(盗汗)
  • 原因不明の体重減少
  • 倦怠感や食欲不振

リンパ節の腫れが目立つため、比較的早期に発見されやすい傾向があります。

白血病の症状

白血病は進行が早い場合(急性)とゆっくり進行する場合(慢性)で症状が異なりますが、共通して以下のような症状があります。

  • 貧血によるめまい、息切れ
  • 白血球減少による感染症の頻発
  • 血小板減少による出血しやすさ(鼻血、歯ぐき出血など)
  • 発熱
  • 骨の痛み(特に急性白血病)

急性白血病では症状が急激に現れるため、速やかな診断と治療が必要です。

白血球数値とその重要性

血液検査で注目されるのが白血球の数値です。
白血病では白血球が10万/μL以上に増加することもありますが、逆に極端に減少することもあり、その場合感染症のリスクが非常に高まります。
一般の感染症でも白血球数は簡単に増加するため、大幅に増加しないと白血球の数値だけで白血病を疑うことは困難です。
一方、悪性リンパ腫では病型によって白血球の増減はさまざまで、必ずしも異常値が出るとは限りません。
だからこそ、血液検査だけでの診断は難しく、生検(リンパ節などの組織検査)や画像検査が不可欠です。

白血球減少の原因

通常白血病では白血球は増加しますが、正常〜減少していることもあります。
また、感染症や薬の副作用で白血球数が減少することもあります。
白血球の減少の原因は以下があります。

  • 薬の中でも化学療法をされている方
  • 感染症に感染している方
  • 白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などの癌がある方
  • その他の癌でも骨髄に転移した場合
  • その他骨髄異形成症候群などの骨髄の病気

悪性リンパ腫と白血病は併発することがあるのか?

結論から言えば、併発の可能性は稀ですがゼロではありません。
実際に、悪性リンパ腫の治療歴がある人が数年後に白血病を発症するケースも報告されています。
これは、治療に用いられる抗がん剤の影響で骨髄異形成症候群(MDS)や治療関連白血病が誘発される可能性があるためです。
特に長期生存者では、こうした二次がんのリスクにも注意を払う必要があります。

生存率と末期症状について

悪性リンパ腫や白血病の余命や末期症状について解説していきます。

悪性リンパ腫の末期症状

末期症状の特徴

悪性リンパ腫が進行し末期に至ると、がん細胞が全身に広がり、複数の臓器に深刻な障害を及ぼします。
特に以下のような症状が現れることが多くなります。

主な末期症状

  • 持続的な高熱や寝汗
  • 体重減少(10%以上/半年)
  • 全身の強い倦怠感や無力感
  • 進行性のリンパ節腫脹と疼痛
  • 肝臓・脾臓の腫大による腹部膨満感・圧迫感
  • 骨髄浸潤による貧血、出血傾向、感染リスクの増加
  • 中枢神経系への浸潤による意識障害、けいれん、神経麻痺
  • 消化管や肺など臓器への浸潤による出血・呼吸困難など

進行型の悪性リンパ腫は、短期間で症状が急速に悪化することもあり、特に高悪性度タイプ(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫など)では、治療のタイミングが遅れると命に関わる事態に陥ることもあります。

悪性リンパ腫の生存率

悪性リンパ腫の生存率はタイプと進行期によって大きく異なります。
また、年齢や全身状態(パフォーマンスステータス)、LDH(乳酸脱水素酵素)値などの予後因子も考慮されます。
・5年生存率の目安

0年サバイバー1年サバイバー2年サバイバー3年サバイバー4年サバイバー5年サバイバー
女性58.1%73%80.2%84.1%87%87.1%
男性49.6%68.3%78.4%82.3%84.8%86.9%

※高齢者や臓器浸潤が進んでいる場合は、生存率が大きく低下することがあります。
※サバイバー生存率:診断から一定年数後生存している者(サバイバー)の、その後の生存率。例えば1年サバイバーの5年生存率は、診断から1年後に生存している者に限って算出した、その後の5年生存率(診断からは合計6年後)。

白血病の末期症状

白血病が末期になると、骨髄機能がほぼ完全に破綻し、正常な血液細胞がほとんど作れない状態になります。また、白血病細胞がさまざまな臓器に浸潤し、複合的な症状が現れます。

主な末期症状

  • 重度の貧血(息切れ、動悸、立ちくらみ)
  • 頻回な出血(鼻血、歯ぐき出血、皮下出血、脳出血など)
  • 感染症の重症化(肺炎、敗血症など)
  • 骨痛・関節痛の増強
  • リンパ節や肝脾の腫大
  • 発熱が続く、抗生物質が効かない
  • 中枢神経系への白血病細胞浸潤(けいれん、意識混濁など)
  • 極端な白血球増加(白血球数が10万/μL以上)に伴う白血球塞栓症

進行が速い急性白血病では、末期症状が出現してから死亡に至るまでの期間が短い傾向があります。

白血病の生存率

白血病もまた、種類や年齢、染色体異常の有無、治療法(化学療法・造血幹細胞移植など)により生存率が大きく異なります。
・5年生存率の目安

0年サバイバー1年サバイバー2年サバイバー3年サバイバー4年サバイバー5年サバイバー
女性26.5%45.3%58.6%66.5%70.9%77.4%
男性25.5%45.9%60.7%69.7%75.1%80.4%

※サバイバー生存率:診断から一定年数後生存している者(サバイバー)の、その後の生存率。例えば1年サバイバーの5年生存率は、診断から1年後に生存している者に限って算出した、その後の5年生存率(診断からは合計6年後)。
急性白血病で高齢者の場合、造血幹細胞移植が困難となるケースも多く、生存率は厳しくなります。

まとめ

悪性リンパ腫や白血病は、いずれも早期発見と専門的な治療が重要な病気です。
「リンパ節の腫れが続く」「原因不明の発熱が長引く」「貧血や出血しやすい」といった症状がある場合は、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。早期に診断・治療を開始することで、予後(病気の見通し)が良好になるケースも多くあります。
これらの症状は悪性リンパ腫や白血病に限らず、他の疾患でも見られることがあるため、体調に異変を感じたら自己判断せず、専門医の診察を受けることが大切です。
体調に不安がある方は、当クリニックまでお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

Q: 悪性リンパ腫は治療しても死ぬ病気ですか?死なないこともありますか?

A.:早期発見と適切な治療で予後は良好な病気にもなり得ます。
ホジキンリンパ腫は非常に治療反応が良く、治癒率が90%以上とされています。
非ホジキンリンパ腫でも、化学療法や免疫療法により長期生存や寛解が十分に可能です。ただし、サブタイプによって予後は異なるため、個別の診断が重要です。

Q:悪性リンパ腫と診断されたら、余命はどのくらいですか?

A:サブタイプや進行度により幅があります。
早期のホジキンリンパ腫や濾胞性リンパ腫では、10年以上の生存も期待できます。
高悪性度リンパ腫で治療が遅れると、半年以内に進行することもあります。
「余命」は一概には語れず、治療への反応がカギになります。

Q:悪性リンパ腫から白血病になることはありますか?

A:稀ではありますが、可能性はあります。
特に高悪性度の悪性リンパ腫が進行すると、骨髄へ浸潤し、白血病に似た状態(リンパ腫性白血病)になることがあります。
また、治療により一時的に寛解しても、再発時に白血病として再発する例も報告されています。

参考文献

・がん情報サービス 悪性リンパ腫
https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html
・MSDプロフェッショナル版 白血病の概要
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/11-%E8%A1%80%E6%B6%B2%E5%AD%A6%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E8%85%AB%E7%98%8D%E5%AD%A6/%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85/%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81#%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E_v41356630_ja
・悪性リンパ腫治療後に出現した急性骨髄性白血病の1例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatology1952/29/3/29_3_518/_pdf/-char/ja
・がん情報サービス 悪性リンパ腫 がん種別統計情報
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/25_ml.html

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